普賢岳 周遊コース



山行報告  
報告者 佐々木英夫  
山行日 平成22年710  天候 晴れ
ルート

和佐又ヒュツテ・・笙の窟・・大普賢岳・・(弥勒/内侍おとし/薩摩ころげ/稚児泊・国見岳/七つ池)・・七曜岳・・無双洞・・底なし井戸・・和佐又ヒュッテ

 コース
タイム
 新田辺(6:00/6:10)−和佐山ヒュッテ(8:50/9:00)ー笙の窟ー大普賢岳(11:40/12:10)ー七曜岳(14:00/14:10)ー無双洞(15:00/15:20)ー笙の窟分岐(17:10/17:10)ー和狭山ヒュッテ(17:40)
 参加者 CL:佐々木
男性:岡部・秋月・金本・中広・山下・梅沢
女性:
浜北・大谷・吉津・長野・徳田幸・岸田
計 : 13名
 山行報告 

北アルプス(針ノ木岳から五竜岳縦走)のトレーニングで和佐又から大峰奥駈道の1峯大普賢岳に登頂、弥勒岳、稚子泊、七曜岳から奥駈道を分けて無双洞・底なし井戸を経て和佐又ヒュッテに戻る周遊コースを選んだ。コースタイムは約7時間、歩行距離約9.3km、はしごや、桟道、鎖場、急登、急下降の岩場ありの上級コースである。
ヒメシャラの大木の道を笙の窟に向かう。日本ケ岳(文殊岳)の直下の石灰岩の絶壁の裾に4つほどの岩窟が開口していて、冬籠りの靡きとして有名だ。オーバーハングした岩壁を伝って落ちる水滴のカーテンが涼しげで、窟内の奥に水甕がある。喉を潤す人もいた。

日本ケ岳のコルからは鉄梯子、桟橋の連続で、チャートの露岩は断崖絶壁を形成していて、特異な景観を呈している。実に壮観だ。しっかりした登山道で特に危険な場所はない。2時間ほどで全員大普賢岳の山頂に到着昼食にする。雲が意地悪をして360度の全望は見せてくれないが、かって吉野から熊野までの大峰奥駈道を3回シリーズで縦走した辛かった時のことを、懐かしく回顧した。

山頂から南に下り水太覗にでる。弥勒岳のシャクナゲ林の群生地を抜けて、いよいよ内侍おとし、薩摩ころげの難所の岩稜を慎重に降下する。狭い横駈けや鎖場は随所に現れ,修行の場としては厳しいものだったのだろう。この急坂は蟻の戸渡りとも言われ、西行法師も奥駈け道を修行し、

「笹ふかみきりこすくきを朝立ちて靡きわづらうありのとわたり」西行法師

と詠んだのはこの場所ではないのだろうかという説もある。

ここから登ると七つ池の窪んだ場所にでる。理源大師が大蛇を退治したという伝説の処である。

石灰岩層が溶けて残したドリーネなのかもしれない。その登山道の斜面で珍しい花を見つけた。

深山の樹林下やササ原に生える多年生の無葉ランのショウキランであった。鬼を追い払う鍾馗さんを連想させる貴重な花だった。きっと全員から「疲労と危険」な鬼を追い払うために咲いていたのだろうとありがたく観賞した。七曜岳は狭い岩峰の山頂で展望は良い。ここから南に少し下り、奥駈け道から分かれ無双洞に下る。急坂、木梯子の連続で気の抜けない時間が1時間余も続いた。水太谷の白濁した流れが樹間から見え瀬音が高くなってもガレ場の危険な道は更に下り、変化にとんだ登山道は危険極まりない。やっと無双洞に着きほっとする。石灰岩の露出した岩窟からは勢いよく水が流れ出ている。鍾乳洞の奥行きは約100mくらいで昭和の初期に発見されたという。渓流で力を得て、再び登りにかかる。伏流谷の石灰岩の転石の間登り抜け、斜面の30センチほどの山道をジクザグに登ると直崖に出会う。崖の上に登るの標識あり、見上げると幾重にも断崖が続いている。鎖,足掛かりのステップが打ち込んである。慎重に登る。登りきった右手に底無しの井戸あり。覗いてみる程の元気なし。ここから1時間30分和佐又コルの指導標、みなさん相当疲労の気配をありありと感じた。

危険な場所はほぼクリァーしたが、まだ1時間余の登りがある。

無口でただ黙々と歩く。予定より1時間遅れで17時40分和佐又ヒュッテに到着。

それにしても七曜岳から無双洞までの下り、無双洞から底無し井戸の登りは、近年にない厳しくリスクの高い変化にとんだ登山道であったが、みなさん無事に縦走できて本当に良かったと思った。 これほどハードな山とは認識しないままトレーニングに選んだことを反省した周遊コースだった。

同行の皆さん、ご苦労様でした。ありがとうございました。
 
 7月10日 夏山トレーニング登山−大普賢岳周遊コース
 会員番号170 梅澤宗平
 

実は前日まで北海道の十勝平野で仕事をしていた。土曜日に帰る予定が金曜日に帰ることになり、十勝帯広空港からCLの佐々木さんに参加を申し込んだ。夏山に参加する者は必ずトレーニングに参加することが義務付けられている。僕は7月14日の武奈ヶ岳トレーニングに参加できないのでこの機会を逃すとトレーニングせずに夏山(鳳凰三山)にいくはめになる。まずはラッキーであった。ただ登山初心者にとって大普賢岳周遊コースは中の上じゃないかとぼんやり思っていた。それに最近の怠惰な生活と北海道出張(3泊4日)で体重が3kgも増加していた。不安を抱いての参加であった。

例によって新田辺駅から14名の参加をいただいて6時10分に出発した。初心者は案の定僕だけである。6月5日の大台ヶ原と同じルートで平安バスが走る。和佐又ヒュッテでバスを駐車する。会長の号令で柔軟体操をする。9時20分ごろから大普賢岳を目指して登り始める。笙の窟(しょうのいわや)に10時に到着する。岩壁から水が滴り落ちる。鷲の窟に10時14分に到着。僕には獅子の横顔に見えた。途中大日岳などの山並みを眺めながら登っていく。弥山だけはガスがかかって姿がみえない。小普賢岳を通りなんなく大普賢岳山頂に立つ。11時36分。食事をしていよいよ周遊コースがスタートした。水太覗に12時24分に到着する。吸い込まれそうな迫力である。薩摩転げ・内侍落としを鎖を頼りに下りていく。ただあまり鎖に頼らないほうがいいとなんかの本に書いてあったことを思い出す。確かにあまり鎖にしがみつくと却ってバランスを崩す。稚児泊に13時30分に到着する。汗を大量にかいた。毛管現象で帽子のつばから汗がしたたり落ちるほど汗をかく。水分補給する。体内の塩分濃度を維持するためにまた汗をかく。塩分補給も必要なんや。そのことは帰りのバスの中で足が両足ともつり大騒ぎして長野さんほかに迷惑をおかけしたことでようやくわかったことです。振り返ると登ってきた大普賢岳、小普賢岳が見える。13時35分。七つ池に到着。13時46分。七曜岳に14時5分に到着。山頂の岩の上で単独行の登山者がうまそうに熱いお茶を飲む。僕らとは逆のルートを登ってきたということである。七曜岳と無双洞との分岐点に到着。14時57分。ここから無双洞まで長くて険しい坂道を下りる。七種槍の下りも厳しいと思ったがここもすごい。谷川の音が聞こえてきてからも長い道のりを下る。雨が降らないでほんとによかった。突然前の方から到着の意味の叫び声があがる。谷川に到着はしたが、無双洞を探す元気もない。ばてた。写真をとる元気もない。長い休憩をして川を渡る。左足が川にはまる。長野さんにつった足を押していただいたときに濡れていたのはその所為(せい)です。しばらくすると最後の登り口に到着する。15時42分。登り切ったところで小休止をする。完全にばてた。金本さんから先頭へ行けとアドバイスを受ける。佐々木CLの後ろにつける。不思議なことに急に楽になる。気をいただいて歩いている気がする。和佐又山コルで小休止をとる。一周したことになる。ここでも多くのみなさんの励ましの言葉をいただく。あとは緩やかな坂道を下るだけである。17時41分和佐又ヒュッテに到着。全員無事に下山できた。佐々木CL御苦労さまでした。ところで今回の感想を女性登山家に聞くとほとんどの回答は「たいしたことない」であった。一方僕を含め男性登山家は「しんどかった」。田辺山友会はいつか女性に乗っ取られるかも。

今回の反省を以下にまとめる。ほとんどはガイドブックに記載されているものである。

1. 日頃の鍛錬が必要。修行中の身としては毎週1回必要。ちなみにベテランは月2回ということであった。

2. 夏山では塩分補給が不可欠。

3. クーリング・ダウンが必要。

以上3項目のおかげで足つりが起こったと思う。

4.  夏山では着替えの準備が必要。靴下も必要。

5.   感想文は遅くともその翌日には佐々木会誌部長へ送付する。今回は下山後10日間かかり、新鮮な印象がやや薄れた気がする。

 

最後に一句

夏山の見所多し大普賢

(みどころのない登山家の詠める)